Anne Bronte


アン・ブロンテ

last updated: 17 January 2013

Biography +++

【生没】 1820.1.17 - 1849.5.28 (辰年生まれ、享年29歳)
【家族】 父親はアイルランド出身の聖職者。母親はアンが1歳8か月の時に死去。その後はおばによって育てられた。姉は作家シャーロット(『ジェイン・エア』の作者)と作家エミリ(『嵐が丘』の作者、姉妹の中で最も仲がよかった)。
【縁の地】 イングランド北部に位置するヨークシャー西部の町ハワース(人生の大半を過ごした場所)
ヨークシャー北部の海岸保養地スカーバラ(ガヴァネス先の家族と度々訪れ、亡くなった場所、葬儀・埋葬が行われた地でもある)
【仕事】 19歳から6年間、ガヴァネスとして働いた。最初のブレイクホールでの仕事は1年ともたなかったが、この時の経験は作品『アグネス・グレイ』の中に再現されている。次の勤務先ソープ・グリーンでのロビンソン家とは親交が深く、ソープ・グリーンは『アグネス・グレイ』のホートンロッジのモデルとなった。
26歳で姉達とともに詩集を発売。この時からアクトン・ベルの名を使用した。詩集の出版費用は約30ポンドで、アンがガヴァネス時代に稼いだ年収の3/4にあたる。シャーロットの『ジェイン・エア』成功により、『アグネス・グレイ』も急きょ出版が実現した。
【評価】 死後、シャーロットにより『ワイルドフェルホールの住人』再出版が拒まれたため、姉たちに比べると知名度が低い。姉2人の情熱的な作風に比べると、より現実的でオースティンと比較されることも。

 

Bibliography +++

#1Agnes Grey (1847) 
『アグネス・グレイ』 笠井満(訳) <ダヴィッド社;ブロンテ全集14・1954>/ 鮎澤乗光(訳) <みすず書房;ブロンテ全集8・1995>/ 笠井満(訳) <文泉堂出版;ブロンテ全集9・1993>/ 田村妙子(訳) <大阪教育図書・2000>/ 田中晏男(訳) <京都修学社;ブロンテ姉妹集1・2001>
姉エミリ・ブロンテの『嵐が丘』と合本で出版された。

   

翻訳書で読みました 【感想】本当の身の上話には、どんな話であっても教訓が含まれているものだ。(冒頭)
 末っ子でかわいがられてきたアグネスは家族から自立するため、住込みの家庭教師をすることを決心します。実際に経験してみると、子ども達はわがままで手に余り、隣人からも全く相手にされないという孤独な日々を送っていました。ところが、ある日副牧師のウェストンが彼女のために桜草をわざわざ摘んでくれたのです。
誰もが経験しうる日常が細やかに綴られています。心痛いほどアグネスに共感できる人もいると思います。彼女の忍耐力、確固たる信条、慎ましい愛情に読み終わった後、ほんのり心が暖まる思いです。いつの時代、どこの国でも人間は変わらないんだなと感じました。

原書で読みました 【感想】ALL true histories contain instruction; though, in some, the treasure may be hard to find, ...... (冒頭)
比較的読みやすい英語だと思います。日本語で読んで、この話が気に入った人はぜひぜひ読んでみてください。Penguin Popular Classics版には、姉シャーロットによる"Biographical Notice of Ellis and Acton BELL"が記載されています。

#2The Tenant of Wildfell Hall (1848)
『ワイルドフェル・ホールの住人』 山口弘恵(訳) <みすず書房;ブロンテ全集9・1996>
アン・ブロンテ代表作。1996年BBCテレビドラマ化。
姉シャーロットによる低い評価がその後の批評に良くない影響を及ぼしたが、現在では再評価され『ジェイン・エア』『嵐が丘』とともに、ブロンテ三作品として挙げられるようになる。当初は冒頭部が欠落した版が出回ったが、92年に完結したクラレンドン版の全集刊行により、テキストの不備が整う。
【あらすじ】1827年、秋。荒廃していたワイルドフェル・ホールで未亡人が1人暮らし始めた、という話題で村が持ちきりになる。素性の不確かで人付き合いも悪いこの夫人に対して、村人たちは不信感を抱く。だが、青年ギルバートだけは彼女と親しくなっていくうちに、知的で奥ゆかしいグレアム夫人に惹かれていく。村人や家族すらも敵に回し、友人とも仲違いするほど夫人に夢中になるギルバートに手渡されたのは、夫人の日記だった。そこには彼女の初恋、結婚後の苦労、夫の酒乱ぶり、息子を守るために夫のもとを離れてきたことなどが綴られていた。

       

翻訳書で読みました 【感想】ヘレン(グレアム夫人)の憎しみを超えた人間愛に圧倒されました。どんなに最低な人間であっても、神のご加護があるようにという彼女の祈りは夫を天国へと導いたのでしょうか。裏切られ、虐げられ続けてもなお、相手を1人の人間として扱うことは、私には到底無理だと思いました。全身全霊で耐え抜いたヘレンが、試練を乗り越えた先で安らぎを得られて本当によかったと安心しました。
他人に対して我慢がならない時、この作品を読めば気持ちがおさまるのではないでしょうか。ヘレンの境遇に比べれば、ほとんどのイライラがちっぽけなものに思えてしまうでしょう。(SEP,2008)

 

Collection +++

Poems by Currer, Ellis, and Acton Bell (1846)
ブロンテ3姉妹で出版した詩集。アクトン・ベル(アン・ブロンテ)による詩は以下25篇。"A Reminiscence", "The Arbour", "Home", "Vanitas Vanitatum", "Omnia Vanitas", "The Penitent", "Music On Christmas", "Morning", "Stanzas", "If This Be All", "Memory", "To Cowper", "The Doubter's Prayer", "A Word To The 'Elect'", "Past Days", "The Consolation", "In A Wood on a Windy", "Day", "Views On Life", "Appeal", "The Student's Serenade", "The Captive Dove", "Self-congratulation", "Fluctuations", "Selections"。
『詩集;ブロンテ全集10』 鳥海久義ほか(訳) <みすず書房・1996>
 ブロンテ姉妹のほか、父親や長男ブランウェルの詩作品も収録。
『アン・ブロンテ全詩集』 藤木直子(訳) <大阪教育図書・1998>
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References +++

アン・ブロンテ論
中岡 洋,内田 能嗣 開文社出版 1999-10
by ヨメレバ
アン・ブロンテ―二十一世紀の再評価
大田 美和 中央大学出版部 2007-11
by ヨメレバ
アン・ブロンテの世界
山口 弘恵 開文社出版 1992-05
by ヨメレバ
ガヴァネス(女家庭教師)―ヴィクトリア時代の「余った女」たち (中公新書)
川本 静子 中央公論社 1994-09
by ヨメレバ
女たちの英米文学シアター―タカラヅカから映画まで
山口 弘恵 春風社 2004-05
by ヨメレバ
ブロンテ―家族と作品世界
ブライアン ウィルクス 彩流社 1994-11
by ヨメレバ
ブロンテ研究―シャーロット、エミリ、アン-作品と背景
青山 誠子,中岡 洋 開文社出版 1983-03
by ヨメレバ
ブロンテ姉妹の小説―「内なる」アウトサイダーたち
栗栖 美知子 リーベル出版 1995-12
by ヨメレバ
ブロンテ姉妹 (Century Books―人と思想)
青山 誠子 清水書院 1994-12
by ヨメレバ
ブロンテ姉妹小事典 (小事典シリーズ)
内田 能嗣 研究社出版 1998-04
by ヨメレバ
ブロンテ姉妹の時空―三大作品の再評価
中岡 洋,内田 能嗣 北星堂書店 1998-01
by ヨメレバ
ブロンテ文学のふるさと―写真による文学鑑賞
中岡 洋 大阪教育図書 1999-07
by ヨメレバ
ブロンテ家の人々〈上〉
Juliet Barker 彩流社 2006-10
by ヨメレバ
ブロンテ家の人々〈下〉
ジュリエット バーカー 彩流社 2006-10
by ヨメレバ