Pat Barker


パット・バーカー

last updated: 16 November 2017

Biography +++

【生没】 1943.5.8 - (未年生まれ)
【家族】 父親は不明。7歳の時に母親が結婚するが、バーカーはそれまで一緒に暮らしていた祖父母との暮らしを続けた。
【教育】 LSE(ロンドン・スクール・オブ・エコノミクス:社会科学に特化した研究・教育機関、G.バーナード・ショーやウルフの夫など多くの著名人を輩出)で歴史学を学んだ。
【仕事】 20代半ばで小説を書き始めたが、デビュー作『アイリスへの手紙』は荒涼で憂鬱すぎるとして、10年間出版社から拒否され続けた。だが、アンジェラ・カーターから薦めてもらったヴィラゴ社での出版が決まる。最初の3作品は、ヨークシャーで暮らす労働者階級の女性を描いた。一転、再生3部作は第一次世界大戦が主なテーマとなっている。
【結婚・出産】 26歳の時に出会った、20歳年上の動物学者バーカー氏との間に二人の子どもをもうけた。彼の離婚成立後、35歳で結婚。バーカー氏は2009年に死去。
【功績】 2000年CBE勲章受章。2012年、イギリスの新聞オブザーバー誌が掲載した「歴史小説ベスト10」に、再生3部作が選ばれる。他に、H.マンテルの『ウルフホール』、G.エリオットの『ロモラ』、P.フィッツジェラルドの『Blue Flower』も選ばれた。

 

Bibliography +++

#1Union Street (1982)
『アイリスへの手紙』 立花薫(訳) <徳間文庫・1990>
1983年フォーセット賞受賞。1989年米映画化("Stanley and Iris"「アイリスへの手紙」 監督:マーティン・リット 出演:ジェーン・フォンダ)。2003年なお、ヴィラゴ社のトップセールス作品の1つ。

【あらすじ】・・・ユニオン・ストリートで暮らす、労働者階級の女性を中心とした短編が7つ。
1.強姦された少女ケリー
2.妊娠してしまった18歳の女工ジョアン
3.失業中の夫と3人の幼子を抱える20代前半のリサ
4.愛する夫を亡くしたミュリエル
5.娘を密かに中絶させるアイリス
6.60歳を過ぎてもなお、男を誘って生計を立てているブロンディ
7.老人施設に入れられるのを拒み続けたアリス

   

翻訳書で読みました 【感想】1973年、不況のイギリスを女性を通して描いた作品です。それぞれ7つの物語は、少しずつ絡み合っています。長期間に渡って少しずつ読むと関連性が分からなくなってしまうので、一気に読みきる方がいいのではないでしょうか。全体として暗いトーンが漂っていますが、貧困に負けてしまった男性たちとは対照的に、女性はとても力強くてたくましく、また図太く生き抜いています。なかなか厳しい小説ですが、一度読んでみても損はしないと思います。

#2Blow Your House Down (1984)
#3The Century's Daughter (1986)
再版 Liza's England (1996)
#4The Man Who Wasn't There (1989)
#5Regeneration (1991)
再生3部作の第1弾。1997年映画化(監督:ギリーズ・マッキノン 出演:ジョナサン・プライス)。
#6The Eye in the Door (1993)
再生3部作第2弾。1993年ガーディアン賞受賞。
#7The Ghost Road (1995)
再生3部作第3弾。1995年ブッカー賞受賞。
#8Another World (1998)
#9Border Crossing (2001)
『越境』 高儀進 (訳) <白水社・2002>
「人間は変われるか?」
【あらすじ】ニューカッスル、9月のある午後、トムと妻のローレンは二人で川べりを歩いていた。いまだに二人の間に子どもができないことで争いながらだ。だが、前方の青年が突然、薬を飲み川へ飛び込んだ。とっさにトムは川へ入り、必死の思いでようやく彼を助け出した。その青年は、13年前老女殺害で裁判を受け、12年間監禁されていたダニー・ミラーだった。そして現在はイアン・ウィルキンソンという新しい名前で生活していた。そして、ダニーは裁判のとき、心理学者であるトムの発言のせいで自分は有罪になったのだという。

   

翻訳書で読みました 【感想】全編を通して重暗い雰囲気がたちこめていました。ダニーはとても魅力のある賢い少年で、人々をとりこにしては彼らの人生を狂わせてきました。トムに自分の過去を語ることで、だんだん殺人事件の真相に近づいていきます。隣のお婆さんを殺したときに、8歳の少年が思ったことは・・・?
 S.ヒルの『僕はお城の王様だ』にも、子どもだからこその残酷な一面が描かれています。

#10Double Vision (2003)
#11Life Class (2007)
#12Toby's Room (2012)
世界大戦を背景に、前作"Life Class"の登場人物たちが再び描かれる
#13Noonday (2015)

 

References +++