Rosamunde Pilcher


ロザムンド・ピルチャー

last updated: 12 September 2014

Biography +++

【生没】 1924.9.22 - (子年生まれ)
【仕事】 18歳で小説家デビュー。作家業初期の頃は、Jane Fraser名義で活動していた。2000年に作家を引退した。代表作『シェルシーカーズ』は、世界的に500万部を売り上げた。
【功績】 2002年、OBE勲章受章。
【結婚・出産】 海軍勤務で知り合った男性と、22歳の時に結婚(夫は2009年に他界)。息子のロビン・ピルチャーも作家。

 

Bibliography +++

#1Half-Way To The Moon (1949)
Jane Fraser名義。
#2The Brown Fields (1951)
Jane Fraser名義。
#3Dangerous Intruder (1951)
Jane Fraser名義。
#4Young Bar (1952)
Jane Fraser名義。
#5A Day Like Spring (1953)
Jane Fraser名義。
#6Dear Tom (1954)
Jane Fraser名義。
#7A Secret to Tell (1955)
#8Bridge of Corvie (1956)
Jane Fraser名義。
#9A Family Affair (1958)
Jane Fraser名義。
#10The Keeper's House (1963)
Jane Fraser名義。
#11A Long Way from Home (1963)
Jane Fraser名義。
#12On My Own (1965)
#13Sleeping Tiger (1967)
#14Another View (1969)
『もうひとつの景色』 浅見淳子(訳) <青山出版社・1998>
@あらすじ・・・天才画家の父ベンは常に世界を飛び回っているため、ずっと1人で暮らしてきたエマ。だが、ようやく父と親子2人で暮らせるときがやってきた。そんな中、父の仕事の関係でロバートという気の利くビジネスマンに出会う。彼と親密になっていくエマだったが、ベンが仕事で一時的にアメリカに旅立ってしまい、また1人ぼっちになってしまう。エマはがんとして父親の帰りをひたすら待ち続ける。だが、ロバートが最悪の知らせを持ってくる。

   

翻訳書で読みました 愛というものは、態度と言葉の二つが揃って、初めて実感できるものだと感じました。どちらかが欠けても誤解が生じるような気がします。この作品は、親子愛を中心に描かれています。強烈な印象が残らないストーリーで、輪郭がぼんやりとしている感じです。でも、何かほんわかとした暖かい気持ちになれました。

#15The End of Summer (1971)
『夏の終わりに』 浅見淳子(訳) <青山出版・1997>/ 野崎詩織(訳) <バベルプレス・2014>
#16Snow in April (1972)
『スコットランドの早春』 中村妙子(訳) <日向房・1998>
#17The Empty House (1973)
『空っぽの家』 中山冨美子(訳) <東京創元社・1997>
#18The Day of the Storm (1975)
『コーンウォールの嵐』 中山冨美子(訳) <東京創元社・1999>
#19Under Gemini (1976)
『双子座の星のもとに』 中村妙子(訳) <日向房・1998/朔北社・2013>
#20Wild Mountain Thyme (1978)
『野の花のように』 中村妙子(訳) <朔北社・1997>
#21The Carousel (1982)
『メリーゴーラウンド』 中山富美子(訳) <東京創元社・1998>
#22Voices in Summer (1984)
『コーンワルの夏』 中村妙子(訳) <日向房・1998>
@あらすじ・・・アレクと結婚して9ヶ月、ローラは病院をあとにして悩んでいた。手術を受けることになり、旅行は控えるように言われたのだ。ちょうど夏の休暇に、アレクの昔からの友人夫婦とスコットランドへ行く予定だったのに。きっとアレクもスコットランド行きをやめると言うだろうが、ローラはぜひとも彼に言ってほしかった。忙しい彼がずっと楽しみにしていた毎年のイベントだったからだ。彼の友人にも、自分のせいでアレクが行けないと思われたくなかった。そこで、旅行中ローラを一人にしないように出された案が、アレクの叔父ジェラルド夫婦が住むコーンワルのトレーメンヒア荘での滞在だった。初対面とあって不安なローラだったが、トレーメンヒア荘の自然は美しく、紳士のジェラルド、親切な妻イーヴ、親しみやすい息子のイーヴァンたちにすっかり心を許し、幸せな休暇を過ごしていた。だがある日、イーヴの友人シルヴィアに不気味な手紙が届く。

 

翻訳書で読みました 中盤から推理小説的な要素が出てきますが、全体としてはのんびりとした暖かい雰囲気が包んでいます。きっと純粋なローラや楽天的なイーヴァンの影響でしょう。特にローラはロンドンにいる時は、申し分ないはずのアレクとの結婚生活に不安を覚えています。それは、今はアメリカにいるアレクの前妻エリカと娘のゲイブリエルの存在が大きかったのです。それにどうしても馴染めない彼の古くからの友人たち。そこはローラが入り込むことのできない世界でした。でも、トレーメンヒア荘でゆったりと過ごし、イーヴァンとの話の中で、だんだんと元気を取り戻し、アレクにもこの不安を率直に打ち明けようと決めるのです。結婚生活を円滑に進めるためには、自分の気持をはっきりと伝えることが大事なんですね。
 D.デュ・モーリアもコーンワルを舞台にした小説を多く書いています。

#23The Shell Seekers (1988)
『シェルシーカーズ』(上下) 中村妙子(訳) <朔北社・1995/新装版・2014>
#24September (1990)
『九月に』 中村妙子(訳) <朔北社・1997>
私の理想とする家族がここにいました。
『シェル・シーカーズ』続編(同じ人物が登場するが、話自体は別物)。
@あらすじ・・・舞台はスコットランドの自然豊かな村。そこでは、相手が話したくない出来事を詮索せず、誰も触れないという暗黙の習慣があった。
ある日、9月に村で盛大なダンスパーティーを開くという招待状が届けられた。村で暮らすバルメリノー卿夫妻、エアド夫婦だけでなく、村を離れた彼らの子どもたちまで、くまなく招待された。ヨーロッパを転々として自由な生活を送るルシラや、村を出て以来20年ずっと帰らないパンドラなどは、到底招待に応じないものと思われていた。ところが招待状をきっかけに、2家族の面々が全員揃うことになる。パーティーに出席するため村に初めて足を踏み入れた新顔の存在で、個人の胸に秘められていた過去の出来事が明らかになっていく。そしてパーティー当日、事件が起きる。

これから読まれる方へ(登場人物が多くて最初は混乱しがち。下記を頭に入れてから読むとスムーズに入れると思います)
●エアド家
 ・ヴァイオレット(エドマンドの母、一人暮らし)
 ・エドマンド(厳格なビジネスマン)
 ・ヴァージニア(エドマンドの後妻、アメリカ育ち)
 ・アレクサ(エドマンドの娘、前妻キャサリンが母親、ロンドン在住)
 ・ヘンリー(エドマンドとヴァージニアの息子、8歳)

●バルメリノー家
 ・アーチー(クロイ館領主、義足)
 ・イザベル(アーチーの妻)
 ・パンドラ(アーチーの妹)
 ・ルシラ(アーチーとイザベルの娘)
 ・ヘイミシュ(アーチーとイザベルの息子、寄宿学校生)

   

翻訳書で読みました 悩みのない人なんていません。誰にだって、話したくない過去があるものです。バルメリノー一家とエアド一家の人たちは、各々の方法で解決し、乗り越えます。答えは意外とあっさりしたものです。でも、少しの勇気とチャンスを逃してはいけません。『九月に』は10人近くの人物にスポットがあてられているので、あなたに合った方法が見つけられるのではないでしょうか。
 私はこの作品が大好きです。読み終わった後、穏やかで暖かい気持ちになれるのです。そして、登場人物を愛せる小説です。器用ではないけれど、懸命に生きている姿が眩しい。過ちも犯すけれど、思いやりにあふれ、器が大きいのです。キレイすぎる話かもしれないし、現実はもっとドロドロしたものだと思いますが、将来に希望の光を見出せる作品がやはり良いですね。芸能人のゴシップや隣近所の陰口が大好きな暇人にこそ、読んでもらいたいところですが、そのような人に『九月に』のよさは分からないかもしれません。
 私は読みながら、ヴァイオレットの家族になりたい、そう思いました。現実にはいそうにない、最高のお婆ちゃんなんです。村で起こった様々な問題に常に関わっており、おそらく主人公といえる人物です(おそらく、というのは、結構どの人物にも焦点があてられていて、誰か1人が中心にいるというわけではないからです)。息子夫婦のことや孫のことなど、心配ではあるものの、なるべく関わらずにいようと心がけていますが、相談されたり老婆心で忠告してみたりと、結局見て見ぬふりはできない優しい女性です。相手の気持ちを察することができ、知性もあるので、家族はもとより村中から愛されているようなお婆ちゃんです。こんな風に年をとりたいとも思いますが、それよりもヴァイオレットみたいな人が側にいれば、どんなに心強いだろうかと思うのです。『九月に』を読まれた方はきっと、大好きになれる人物を誰か見つけられるのではないでしょうか。それぐらい各人物が生き生きとしていて、魅力的です。きっとスコットランドの美しい自然がもたらした産物でもあるのでしょうけど。
 最後にヴァイオレットの言葉を引用しておきます。
「人生においては一見取るに足らない些細なことが時として、世間の考える重大事よりも、無限に大きな意味をもっている」

【幸福指数 90%  陰鬱指数 3%  恐怖指数 5%  幻想指数 0%】  (9月,2012)

#25Coming Home (1995)
第二次世界大戦の時代、コーンワルで成長していく少女を描いた自伝的小説。
『帰郷』(上中下) 中村妙子(訳) <日向房;星雲社・2003>
#26The Key (1996)
#27Shadows (1999)
#28Winter Solstice (2000)
『冬至まで』(上下) 中村妙子(訳) <日向房・2001>

 

Collection +++

#1The Blue Bedroom and Other Stories (1985)
"Toby", "Home for the Day", "Spanish Ladies", "Miss Cameron at Christmas", "Tea"with the Professor, "Amita", "The Blue Bedroom", "Gilbert", "The Before-Christmas Present", "The White Birds", "The Tree", "The House on the Hill", "An Evening to Remember"全13編収録。
#2Flowers in the Rain: And Other Stories (1991)
前作"The Blue Bedroom"の続編。
#3The Blackberry Day: And Other Stories (1992)

 

ロザムンドおばさんの贈り物 中村妙子(訳) <晶文社・1993/朔北社・2013>
「あなたに似たひと」「忘れられない夜」「午後のお茶」「白い翼」「日曜の朝」「長かった一日」「週末」
ロザムンドおばさんのお茶の時間 中村妙子(訳) <晶文社・1994>
「雨あがりの花」「湖に風を呼んだら」「気がかりな不在」「丘の上へ」「父のいない午後」「再会」
ロザムンドおばさんの花束 中村妙子(訳) <晶文社・1994>
「人形の家」「初めての赤いドレス」「風をくれた人」「ブラックベリーを摘みに」「息子の結婚」「クリスマスの贈り物」「記念日」
イギリス田園の小さな物語 小林町子・芹沢恵(訳) <PHP・1994>
「祖母の決心」「雪解け」など全9編。
懐かしいラヴ・ストーリーズ 中村妙子(訳) <平凡社・2006>
ピルチャーの「ララ」ほか、モーリア「もう一度、キスをして」など全7編収録。

 

ピルチャーの小説の舞台となった場所の写真がふんだんに納められた写真集。